
ことです。私の学校で実は全校生徒に調査をしたのですが、「生活の中で誰といるときが一番ほっとしますか」という質問に対して、「一人」と答えたのが男子で、37%、女の子で、27%、その他が7%と5%とあります。その他というのは、ペットとかそういうものなんです。学校の先生は残念ながら男子で、0%、女子で1%、一番に「ほっ」とできる相手ではないということです。「一番ほっとできるときはいつですか」という質問に対して、「寝るとき」が男子が、57%、女子が46%、「お風呂に入っているとき」が16%と21%、合わせますと7割が人間関係を断っているときに一番くつろいでいる。そういう結果が出ているんです。ですから部活動を指導されるときに、こういった子どもたちを相手に指導しているということを頭において頂く必要があるのではないかなと思っています。今いろいろ問題になっております登校拒否とかいじめとか、こういったものもずっと話を聞いていきますと、人間関係に起因をしているように思います。
もうひとつ、症状に出す子どもたちが多くなってきているということが特徴としてあると思います。私の学校では部活動の中で人間関係がこじれ、そのことがきっかけだと思うのですが、女子でヒステリーという症状を現すのです。分かりやすくいうと過呼吸という、あれもヒステリーの一種だと言われているのですが、そういう状況が学校の中でたびたび起こるようになりました。しかし、きっかけは部活動や顧問の先生が厳しく追い詰めていったときにこういう症状が出てきたわけです。それで学校へ来れなくなったりしている。そういう状況の中で、アトピーがでるとかいろんな症状が出る。そういう子どもたちも多くなってきている。いずれにしても、生徒数が減ってるだけではなくて、心の部分でも非常にか弱い、そういう生徒が増えているということを前提にして、指導を進めていくことが大事ではないかと思っています。
さらに、保護者の問題です。さきほどの中にも出ておりましたが、非常に熱心な保護者が確かにあります。しかし私は9年間の仕事の中で、むしろ負の部分の保護者にたくさん会ってきました。障害の部分でも裁判になるというのが非常に多いのです。弁護士さんに聞いたのですが、裁判になる3つの要因があるというのですね。ひとつは障害の程度・場所。頭であるとか目であるとか、こういうところを怪我したときには、気を付ける必要がある。できるだけ適切な処置をする。2番目、学校の対応。決して悪い対応をしたのではないのですが、家庭訪問をするとか、医者へ連れて行くとかそういう対応が遅れたときに裁判になりやすい。3番目、親の気質。非常にこだわりを持っておられる、ねばっこい、そういう保護者の気質。この3つが要因としてあげられると聞いたのです。私は3件ほど裁判を担当しておりましたが、いったん裁判になるとなかなか勝てるということがまず少ないです。大きい側がやはり責められるということが多いように思われます。そういった中でいかに保護者をうまく巻き込みながら、理解を得ながら、部活動の指導を進めて行くことが大事かということを感じています。
最後に指導者の問題ですが、私は部活動というのは、指導者にかかる部分が大変大きいと思います。そこで指導者として何を考えるべきかということなんですが、私は三つのことが必要ではないかなと思っています。そのひとつは、指導者というのは、戦略家でなければいけないと思います。戦略というのは非常に大きなものなのです。国を刻むような、1年や2年やそんなものではできない。長い期間をかけて、そして大きな目標を立て、その目標に迫っていく。そういう大きな戦略を立てるということ。そして戦法。戦法というのは相手を知る敵を知るということ。だからさきほど何人かの人がおっしゃってますようにアンケートをとるとか、生徒のことを知るとか、こういうのは戦法ではないかと思っているのです。ですから、そういうことは非常に大切だと思います。そして皆さん方が一番知りたいのは戦術ではないかなと思います。術というのは街角でそれぞれの戦う戦い方なんです。ですから3人の先生方が示されたアイデアとかヒントもそうでしょう。そして本にもあるで
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